人生を豊かにする選択肢~遺贈寄付
2024.02.24
遺贈寄付とは
遺贈寄付とは、遺贈や信託・死因贈与など方法を利用して、亡くなった方の遺産を非営利団体等・大学・地方自治体などに寄付することをいいます。
2024年2月19日放送のNHKのクローズアップ現代で遺贈寄付が紹介されていました。
私は前回の2017年11月に同番組-当時はクローズアップ現代+でした-に参加したことがありました。北朝鮮のミサイル発射などで2度延期されての放送だったので、待ち遠しかったのをおぼえています。
それから6年3か月。この間に遺贈寄付という言葉を目にする機会は格段に増えてきました。全国紙や週刊誌で遺贈寄付の連合広告が組まれるのは今や当たり前の光景になりました。2016年に私たちが発刊した『遺贈寄付ハンドブック』は2022年に改訂第2版が刊行されました。
遺贈の受遺団体、中間支援団体、相続や遺贈・金融の実務家が集まって遺贈寄付の健全な普及推進のための研究会を始めたのが10年前のこと。
そのメンバーを中心に2016年に有志で立ち上げた一般社団法人全国レガシーギフト協会(樽本が複数代表のひとりを務める)が主宰する遺贈寄付ウィーク(毎年9月に開催)も今年5回目を迎えます。
遺贈寄付の件数
2014年に年間400件足らずだった遺贈寄付の件数(遺贈と相続財産寄付の合計、相続税の申告がなされたものに限る)は、2020年に826件まで増加しました(国税庁から開示された件数)。その後の件数の推移は情報を入手していないので正確なところは分かりませんが、1000件近くまで伸びている可能性があります。
金額は年によって上下しますが、概ね数百億円規模です。金額だけ見れば決して少ない額ではありませんが、年間の相続件数が140万件、相続財産の総額が40~60兆円と試算されるなかでは僅か0.1%に過ぎません。
遺贈寄付の価値~自分の思いを次の世代に託すことができる
しかし、寄付を託される非営利団体や学校、自治体などにとっては、この数字は大きな意味をもっています。そして、それは寄付者やその家族にとっても同じです。
上記の番組では、遺贈寄付の意義について、出演者の星野哲さん(立教大学社会デザイン研究所研究員、ライター)がこのように述べておられました。
-この社会は分断や孤立が進んでいるが、(遺贈寄付という行為を通じて)「私たち」という思いを再び紡いでいくことができる。次世代に生きた証をつないでいく、それは未来への希望でもある。残った人生をより充実させていくうえで、遺贈寄付は非常に重要な選択肢になる。
また、遺贈寄付の遺言を作られた女性のご子息の次の言葉も印象的でした。
-母親が役に立ったなと思えたらそれはすごい大きな私にとっても喜びになるだろうし、誇りに思えることなのかな
遺贈寄付には、単なる財産権の移転にとどまらない価値があります。生前に行う寄付とは違い、本人が寄付の結果を目にすることはありません。しかし、亡くなった後も自分の思いを次の世代に託すことができる満足感は遺贈寄付でしか得られません。
遺贈寄付は決して大きな金額である必要はありません。遺族にしっかりと財産を受け継がせながら、同時に遺産の一部を寄付することも自由にデザインできます。それは自分の人生がどういうものであったか、自分がどういう人間として記憶されたいかを考え、見つめ直す機会でもあります。こんな遺贈寄付の価値に、一人の専門家として寄り添っていきたいと考えています。
遺贈寄付に関するご相談
インテアス法律事務所では、遺贈寄付の受け手である非営利団体や大学、他士業、金融機関などに、遺贈寄付の募集や受入れについての助言や研修をおこなっています。また、個人の方からの遺贈寄付を含む遺言の作成、遺言執行の依頼もお受けしています。
当事務所の弁護士は、非営利団体の運営や支援に積極的に関わってきた経験がありますので、遺贈先の団体や遺贈寄付のスキーム提案まで行うことができるのが特徴です。
また、グループのミクスト株式会社(代表取締役樽本哲)では、キフタントというサービス名称で、経営者や富裕層の方向けのフィランソロピー・アドバイザリーを提供しています。
周囲に遺贈寄付を検討したいという方がいましたら、どうぞお気軽にお問合せください。