ジェンダーギャップ解消に向けて

ジェンダーギャップ解消に向けて

事務所のリブランディングに伴い、当事務所所属の弁護士からそれぞれコラムの連載をすることになりました。主として、各弁護士が関心を持つ分野についての情報や忌憚のない意見を発信し、皆様に当事務所を知って頂く契機になればと思います。

さて、わたくし國信からは、「ジェンダーギャップ解消に向けて」というテーマで初回のコラムを書きたいと思います。

そもそも私がジェンダーギャップ解消に関心があるのは、私の亡き母、國信潤子がジェンダー分野の大学教授であったことにあります。おそらくですが、我が家では父と母のパワーバランスが一般的な家庭よりも均衡していたと思います。そういう家庭で育った私は、当然のように、仕事の能力ひいては経済力において男女に本質的な差がないことを実感していました。これは幸福であるとともに、男女役割分業社会であり続ける日本社会に対する根源的な疑問を持つ契機になりました。

世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表しているジェンダーギャップ指数のランキングで、2023年度では、日本は146カ国中125位となっています。注目すべきことはその順位の低さだけでなく、年々日本が順位を下げ続けていることです。日本においてもジェンダーギャップ解消に向けた対策をしていないわけではありませんが、ランキングは相対的なものであり、他の国がより積極的に対策を講じているため順位が下がり続けているというのが実態といえます。

分野別で見ると、政治分野での順位は146カ国中138位と最下位クラス。経済分野での順位146カ国中123位とこれも著しく低い。政治分野では、衆議院議員における女性比率の低さ、経済分野では経営者層の女性比率の低さが顕著です。

私の経験上の感覚からして、さらにその根本には、「女性はリーダーに向いていない。」との認識があるように思います。皆さんはどうでしょうか。職場の上司が明日から女性になります、と言われた際にどういう印象を持つでしょうか。少し頼りないなとか、女性の上司ははじめてなのでうまくやれるかなとか、思いませんか。

私は、戦後から高度経済成長期を経て現在に至るまで、男性が外で働き女性が家庭を守るとの価値観がベースにあるため、そのように素朴に感じてしまうこと自体はある種やむを得ない側面があると思っています。しかし、さらに一歩進んで考えてみてほしいと思います。「女性がリーダーに向いていない。」ということに合理的な根拠はあるのだろうか、と。

よくジェンダーギャップ解消の話をすると、「言ってることは分かるんだけど、現実問題として管理職や経営者層になるような女性のなり手がいないんだよなぁ。」ということを言う人がいます。しかし、それは合理的な根拠でしょうか。男女役割分業社会で女性に経済社会での役割を与えず、管理職や経営者層になるべき経験を与えてこなかったのですから、現時点で管理職や経営者層のなり手の女性がいないのは当たり前です。その反論を認めることは、現状維持でしかなく、まったく合理的ではありません。

科学的には、人間の脳の構造上、能力や性格において差がないとされています。少なくとも、経済活動におけるリーダーとしての能力において有意な違いがあるというデータは存在しません。ではなぜ、私たちは「女性はリーダーに向いていない。」と思うのでしょうか。この思い込み、偏見を正面から見つめることがジェンダーギャップ解消の第一歩だと私は考えています。

ここまではまだまだ私の考えていることのごく一部です。また、ここまでだとまだ弁護士として私がジェンダーギャップ解消についてできることにはつながっていません。

そのあたりの話はまた、次のコラムでおいおい書きたいと思います。

ちなみに、私は現在ジェンダーギャップ解消を含むダイバーシティに関する勉強会を毎月主催しています。以下がその勉強会のSlackのURLです。お気軽に参加頂けるとうれしいです。

https://join.slack.com/t/w1654059424-xcw511006/shared_invite/zt-19wqt1yau-Psend4fgpX~ECvFv8ws42g

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