イラン情勢への日本の関与の可能性について 

イラン情勢への日本の関与の可能性について 

2026.03.16

執筆:國信 浩也(インテアス法律事務所)

皆さんご存知のとおり、2月28日に、アメリカとイスラエルがイランに対して軍事的に攻撃を加えました。
1月のコラムでは、アメリカのベネズエラへの攻撃について書きましたが、そのことが霞んでしまうかのようです。

トランプ大統領は、3月14日、日本や中国、フランス、英国、韓国がホルムズ海峡に艦船を派遣することに期待を示しているとSNSで発信しています。しかし、アメリカ政府による正式な要請はまだされていないようです。
高市首相は、3月16日「日本が独自に法的な枠組みの中で何ができるか、私自身も指示を出しながら検討を続けている」と述べており、政府高官は「日本から積極的に船舶派遣ということにはならないと思う」と語っており、外務省幹部は「まずは状況を見極める。それに尽きる」と説明しているとのこと。

2014年に安倍内閣が、集団的自衛権を閣議決定により認め、その後の安保法制成立により存立危機事態などの要件を満たせば自衛隊が海外で武力行使できるようになっています。
この方向転換より前は、日本は憲法9条を理由に個別的自衛権以外の武力行使を拒否できていたところ、現在はこの安保法制の要件解釈に委ねられています。
これは、憲法というどの時代の政権をも縛るルールから、安保法制という時の政権の解釈により決することができるルールに変更されたことを意味しています。憲法は国家権力に縛りをかけるところにその存在意義(立憲主義)があるのに、それが緩められてしまっています。

確かに、現政権が結果的に正しい判断をするかもしれません。しかし、歴史を見れば分かるとおり、ひとたび戦争が起きると政権は国民よりも国家を重視しコントロールがきかなくなります。今回も、仮に自衛隊を派遣し自衛官に死傷者が出れば国民感情も過熱し、冷静な判断は難しくなります。
歴史的経緯から人類がたどり着いたのが立憲主義だったはずなのですが、もはやそれは日本では失われているように思います(もしかすると最初から根付いていなかったのかもしれません。)。

前回のコラムでも記載したとおり、国際法による規律が失われつつある現在では、存立危機事態の要件検討において、「アメリカの行動が国際法に適合していること」という事情は意味をなさなくなると、私は考えています。

そうなると、いよいよあとは、時の政権である高市内閣に判断を委ねることになります。そこまでの判断を時の政権に委ねる覚悟があって、安保法制を国民は支持していたのでしょうか。
一方で、アメリカとの関係性なしに日本の存在はあり得ない状況あり、立憲主義を唱えるだけでは現状を打破できません。日本人の命をかけてまでする武力行使の、日本独自の要件(個別的自衛権の枠組みに立ち戻ることも含めて)を国民がしっかりと考えるべきなのかも知れません。政治家のせいにしても始まりません。

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