
中学受験とジェンダーギャップ
2025.09.16
執筆:國信 浩也(インテアス法律事務所)
個人的に自分の子どもの中学受験を検討していて、中学受験の情報を集めています。
その中で、中学受験の段階でもジェンダーギャップがあるのかを、少し調べてみました。
①偏差値が高いとされる中学校の選択肢、及び、②偏差値にかかわらず中学校の選択肢のいずれもがそもそも女性には少ないのではないか、というのが私の推測でした。
そうしたところ、①については、概ね推測通りで、偏差値の高い男子校10に対して偏差値の高い女子校は6程度の割合になるようです。また、偏差値の高い女子校は関東に偏っています。②については、推測に反し、①の次の層や中程度の偏差値の層では、むしろ女子校の数が男子校の数を上回っているようでした(リサーチは、AIによるもので、精緻なものではないことはご理解頂きたく。)。また、偏差値の高い特定の共学校では、男子合格者よりも女子合格者の方が高い偏差値が求められる学校もあるようです。
なお、偏差値が高いことが正義だと申し上げるつもりはなく、社会における役員女性比率や管理職女性比率の原因を探る観点から、それらの比率と偏差値が高い大学への進学率と相関関係があり、さらにその手前の中学受験でも相関関係があるのではないかという考えに基づいて、記述しています(この前提も、学歴主義に偏重している可能性はありますが、その点はまた別の機会に。)。
次に、東京大学、京都大学、慶應大学、早稲田大学の入学者数における女性比率をみると、東京大学と京都大学が2割前後、慶応大学、早稲田大学が35%から38%程度のようです。
ここまで見てみて思ったことは、中学受験でも偏差値の高い学校に格差はあるものの、偏差値が高い大学における格差ほどではないようです。
大学受験においては、①男性は浪人覚悟で受けることが相対的に多く、女性は相対的に少ないこと、また、②大学レベルでは理系に対するアンコンシャスバイアスがあり、理系学部が女性の選択肢として弱いことなどが影響するのかもしれません。
また、統計には表れないいわゆる「隠れたカリキュラム」として、学生生活のうちに、なんとなくリーダーシップをとるのは男性、サポートをするのは女性という刷り込みが依然として存在するのかもしれません。
最後にですが、こうした考察は「かもしれない」「ようです」という推測を伴うため、絶対的に正しいとは言えません。ただそれでも、現状の日本社会で依然として残存する男女役割分業の考え方や、企業における役員・管理職女性比率、国会議員における女性比率などの確たる統計が存在する以上、その原因を考え続け、トライアンドエラーをやめずに継続してジェンダーギャップ解消に努める姿勢が大事だと思っています。また、ジェンダーギャップ解消は、相対的に立場の弱い女性だけの問題ではなく、男性を含む社会構造全体の問題であり、男性が自分事として捉えることもまた大事だと思います。