
参議院選挙を前にして思うこと
2025.07.15
執筆:國信 浩也(インテアス法律事務所)
7月20日は参議院選挙の投票日です。
自民党の勢力が弱まっているように感じられる一方で、国民民主党、参政党などが注目されている展開のようです。自民党に不満を持った人の受け皿が、いろいろあることはよいことだとは思います。自民党が悪だとは思いませんが、やはり長期間政権を保持することによるデメリットが表出しているように思うからです。
近時の円安と物価高の影響を受け、減税、社会保障費削減などの経済政策が特に注目されています。また、ウクライナや中東での緊迫した世界情勢を受け、防衛政策も重要度を増しています。
ここからは國信個人の見解ですが、私は、国会議員の最大の責務は、戦争をしないことだと考えています。さらに言えば、仮に戦争に巻き込まれたとしても、国民の思想信条の自由、表現の自由が保障される中で、国民が主体的に自国の防衛について議論できる体制を維持することが、国会議員の最大の責務であり、近代立憲主義国家としての姿だと考えています。戦時下だ、有事だ、ということで国家が前に出てきて、国民の思想統制をして、戦争にのめり込み歯止めがきかなくなる姿は二度と日本で繰り返されてはならないと思います。
近代立憲主義の内容として、以下のものがあります。
人の生き方や世界の意味について、根底的に異なる価値観を抱いている人々がいることを認め、そして、それにもかかわらず、社会生活の便宜とコストを公平に分かち合う基本的な枠組みを構築することで、個人の自由な生き方と、社会全体の利益に向けた理性的な審議と決定のプロセスを実現することを目指す、というものです。
したがって、憲法のレベルにおいて、国民に対し特定のあるべき価値観を示すことは立憲主義に反すると私は思います。ただし、国会議員が法律を制定し、教育制度を構築することは当然許されます(かかる教育制度も国民の思想信条の自由や表現の自由を侵害する内容のものは違憲であり無効になるという仕組みです。)。僭越ながら、最低限この憲法レベルと法律レベルの棲み分けは、立憲主義を採用しているはずの日本の国会議員には理解して頂きたいと思うのです。