
歴史の記憶を未来へ繋ぐ「阿波丸殉難者之碑」
2025.03.18
インテアス法律事務所の樽本です。
増上寺の山門脇にある「阿波丸殉難者之碑」をご存じでしょうか。
1945年4月1日、終戦間際に米潜水艦に撃沈された商船「阿波丸」の犠牲者を慰霊する碑です。
東南アジアで日本軍の捕虜になった連合軍兵士に支援物資を届けて日本に戻る帰路の途中、台湾海峡で撃沈され、2,000名以上の方が亡くなりました。
この痛ましい出来事、「阿波丸事件」は、浅田次郎さんの小説「シエラザード」のモデルになったと言われています。
建立から半世紀近く経って汚れや痛みが目立っていた慰霊碑が2月末に修繕されたのを受け、先日、現地を訪問しました。修復された碑は、雨に濡れて黒く輝いていました。

私は、この修繕工事を主導した犠牲者遺族の方からの依頼を受け、来る4月13日に執り行われる慰霊法要について、関係機関への情報提供や遺族の探索等の業務を通じて、ご遺族の想いと歴史の記憶を未来へと繋ぐお手伝いをさせていただいています。
ご遺族の高齢化が進み、遺族会もすでに解散するなど、記憶の風化が懸念される中で、終戦80年という節目の今年、犠牲者を悼み、平和への願いを新たにすることの意義は、言葉では言い表せないほど大きいと感じています。
阿波丸事件のご遺族をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報をお寄せください。