アルバイトや転職に関するアプリ・サービスについて
2025.01.13
最近テレビを見ていたところ、アルバイト求人、一般的な転職、特定の業種の転職のアプリやサービスのCMが多く流れているのを目にしました。
旧来の日本型雇用では、終身雇用制度があり、企業間で労働力が移転するという労働力の外的流動性は低く、その代わり、転勤や異動を社内で活発に行う内的流動性が高いとされてきました。
現在では、終身雇用制度が当たり前ではなくなり、労働力の外的流動性が高まってきた、あるいは、高められるべきだという流れがあります。
そういった意味では、積極的な転職を支援するアプリやサービスは時代を象徴しているようにも思えます。
しかし、私は若干の危惧を感じています。というのは、アプリやサービスもただではないということです。そこにはサービスを提供するプラットフォーマーが存在し、プラットフォーマーが利益を得る構図があります。
労働基準法第6条で中間搾取の禁止の考え方からすると、労働力を仲介することで利益を得るのは好ましくないことになります(この考え方も、労働者派遣法の範囲拡大で随分と価値が薄められてはいますが。)。
もちろん転職に関するアプリやサービスも現行法に反しない形で行われているので適法ではありますが、プラットフォーマーも実質的には労働力の仲介で利益を得ていると言え、あまりにプラットフォーマーが儲かる構造になるのは、健全な労働市場ではないように思います。
例えば、アプリを使ってバイトを探したい企業からすると効率よく人材を探せますが、一方で、手数料をプラットフォーマーに支払うことになります。そうすると、企業としては、当該労働者に対する賃金をあまり上げられないということにもつながりかねません。
便利なサービスを否定するつもりはありませんが、プラットフォーマーがあまりに膨張するのは社会としてバランスを失するような気がするのです。
労働力の流動性を挙げること、賃金を上げることは、現在の雇用システムからの変更を意味しているため容易ではありませんが、できるかぎり労働者に強い負荷をかけない形で実現すべきだと思ったりします。