新刊紹介『社会課題解決のための金融手法と実務~寄付・助成から革新的フィランソロピーへ』

新刊紹介『社会課題解決のための金融手法と実務~寄付・助成から革新的フィランソロピーへ』

2024.07.07

インテアス法律事務所代表弁護士の樽本です。

近年、社会課題の複雑化・深刻化に伴い、企業や個人の社会貢献活動への関心が高まっています。従来の寄付やボランティア活動に加え、より効果的かつ持続可能な社会貢献を目指した「フィランソロピー」への注目度も上昇しています。

そんななか『社会課題解決のための金融手法と実務』という書籍が、今月、きんざい(金融財政事情研究会)から出版されました。

私は同書の企画・編集とともに、第2編第1章の寄付の法務、第3編第2章 フィランソロピー・アドバイザーの法務のパートの執筆を担当しました。

このコラムでは、本書のポイントをご紹介しています。

どんな本?

本書は、金融手法を活用した革新的フィランソロピーをテーマに、寄付・助成、投融資、認証・評価など、多角的な視点から最新のフィランソロピーを取り巻く状況を体系的に解説したものです。社会課題解決に向けた新たなファイナンスの潮流が理解できる内容になっています。

本書のポイントは以下の囲みのとおりです。

  • 日本のフィランソロピーの現状と課題、グローバルな潮流も分析
  • さまざまなソーシャルファイナンスにおける手法の特徴と仕組みを解説
  • 豊富な事例や実務家による解説で、実践的な知識を習得可能
  • フィランソロピー・アドバイザー、認証・評価、休眠預金制度など、関連サービスや制度も網羅

どんな内容?執筆者は誰?

本書の構成と内容、執筆者(敬称略)はこちらです。

第1編 金融手法を活用した革新的フィランソロピー[小林立明]

  • 第1章 従来の寄付・助成から新たなフィランソロピーへの発展
  • 第2章 多様な発展を遂げるフィランソロピー手法
  • 第3章 いま資金を振り向けるべき課題領域
  • 第4章 支援の主体と相手方
  • 第5章 第2編と第3編のサマリー

第2編 手法と実務

  • 第1章 寄付[樽本 哲、脇坂誠也]
  • 第2章 助成財団の設立とプログラム運営[若林朋子、石川広紀]
  • 第3章 公益信託[太田達男]
  • 第4章 遺贈寄付[齋藤弘道]
  • 第5章 コミュニティ財団[岸本幸子]
  • 第6章 NPO・ソーシャルビジネス向け融資[玉木 舞]
  • 第7章 ベンチャー・フィランソロピーと社会的インパクト投資[鈴木 栄]
  • 第8章 ソーシャル・インパクト・ボンド[東條恭章]
  • 第9章 財団による投資[青柳光昌]
  • 第10章 プライベートバンクのフィランソロピーサービス[山本耕太郎]
  • 第11章 個人向け社会貢献型金融商品
    • 第1節 寄付付預金・投信など個人向け金融商品[横田健一]
    • 第2節 投資型クラウドファンディング[山辺絋太郎]
    • 第3節 寄付型クラウドファンディング[草原敦夫]
    • 第4節 ポイント寄付[鈴木哲也]
  • 第12章 市民ファンド[野池雅人]
  • 第13章 ふるさと納税[宗形 深]

第3編 さらなるフロンティアに向けて

  • 第1章 マイクロファイナンス[百野公裕]
  • 第2章 フィランソロピー・アドバイザー
    • 第1節 フィランソロピー・アドバイザーとはどのような存在か[藤田淑子・小柴優子]
    • 第2節 フィランソロピー・アドバイザリーの法務[樽本 哲]
  • 第3章 認証・インパクト評価
    • 第1節 企業の法人格・認証制度、IMMおよび情報開示に関する動き[高木麻美]
    • 第2節 組織評価・認証[山田泰久]
    • 第3節 社会的インパクト評価からインパクト測定・マネジメント[鴨崎貴泰]
  • 第4章 休眠預金等活用制度[鈴木 均]

誰が読むべき?

  • 助成財団・公益法人の担当者
  • 中間支援団体の関係者
  • 金融機関の企画部門・ウェルスマネジメントの担当者
  • 社会的インパクト投資や市民ファンドのファンドマネージャー
  • 士業などの専門家
  • フィランソロピー・アドバイザーなどの実務家
  • 自ら社会課題解決に向け資金を提供したい個人

編集者はどんな人?

きんざいの編集者の西田侑加さんから本書の企画のお話をいただいたとき、私が真っ先にお誘いした相手が多摩大学教授でサステナビリティ経営研究所の主任研究員を務める小林立明さんでした。小林さんには本書の骨格部分であるコンセプトと全体の構成のアイデアのほか、執筆者への声掛け、第1編「金融手法を活用した革新的フィランソロピー」とコラムの執筆、さらには編集作業まで、大活躍をいただきました。この本の最大の功労者は間違いなく小林さんです。

 

共同編集者の若林朋子さんは、芸術分野の助成の実務に詳しく、プログラムオフィサーとしての実績も豊富で、立教大学21世紀デザイン研究科の教授としても活躍されています。

 

同じく共同編集者の脇坂誠也さんは公益法人やNPO法人の税務会計分野の第一人者で、遺贈寄付の全国レガシーギフト協会をはじめ、さまざまなNPOでご一緒させていただいています。

 

小林さんと若林さん(執筆者の横田健一さんも)には私が代表を務めるキフタントの外部アドバイザーとしてもサポートをいただいています。

 

彼/彼女らがいなければこの本は完成しなかったし、きんざいの西田さん(彼女を引き合わせてくれた広報コンサルタントの佐賀晶子さんも)がいなければ本書の企画が生まれることはありませんでした。ありがとうございました。

さいごに

各界の第一人者の専門家の皆様のご協力で、充実した内容に仕上げることができました。ぜひ本書を手に取って、フィランソロピーの可能性を探求してみてください。

(樽本 哲)

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