退職代行会社から連絡がきたら…
2024.11.17
退職代行会社というものが登場し、話題を集めてから、すでに定着したように思います。
今回は、弁護士ではなく退職代行会社から、従業員が退職する旨の連絡が来た場合に、どういった対応が可能か考えたいと思います。
退職代行会社から連絡が来た場合に、ただ粛々と退職手続をとるしかない、というわけではありません。
重要なのは、弁護士法72条が弁護士でない人が法律事務をしてはならないと定めている関係で、退職代行会社は交渉が出来ず、従業員の代わりに意向を伝えることしか出来ないということです。
つまり、退職代行会社は、辞める方の意向をそのまま伝えることは出来るものの、会社がその意向について受け入れなかった場合、退職代行会社は何も出来ない、ということになります。
例えば、辞めるにあたっては、有休消化をどうするのか、未払残業代があるのではないかといった点が話題に上がることが往々にしてあります。これらについて、従業員から会社が受け入れられる範囲内の要望が伝えられた場合にはそのまま進めればよいでしょう。しかし、一切の引き継ぎを拒否するといったような会社として受け入れがたい要望が伝えられることもあります。
実際、退職代行サービスを利用する方は、退職にあたってできる限り会社との接触を減らしたいというニーズを持っていることもあるので、退職代行業者から会社に連絡があった後は、一度も会社に顔を出さなくなるということもよくあると聞きます。
そのような場合には、退職日までに会社の要望をきちんと退職代行会社に伝えることとなりますが、その要望を従業員が受け入れず、お互いの主張が食い違ってしまうということもあるでしょう。そのときは、交渉をすることは弁護士法違反の行為なので、従業員本人か弁護士を通じて連絡するよう伝えるという方法もあります。
今後も退職代行会社を利用した退職は一定数あるでしょうから、そういった場面でお役に立てれば何よりです。
なお、私は、企業の皆様に退職勧奨代行サービスというものも提供しています。退職勧奨とは、一方的に解雇するのではなく、話し合いで退職をお勧めするというものですが、そもそも退職をお勧めするのは心理的にも負荷が重いですし、場合によっては違法な退職勧奨となることもあります。そのため、退職勧奨を弁護士である私が代行するということもしています。もしご興味がありましたら、メッセージフォーム等から、お気軽にお声かけください。