自民党総裁選に思うこと

自民党総裁選に思うこと

2024.09.17

自民党総裁選が9月27日の投開票に向けて佳境ですね。盛り上がっているかは微妙なようですが。
さて、ジェンダー的な観点、あるいは、さらに広くダイバーシティ的な観点からは、選択的夫婦別姓と同性婚に対する各候補者のスタンスに関心があります。
最初に立候補を表明した、小林鷹之氏は49歳と比較的若いのですが、選択的夫婦別姓と同性婚のいずれにも否定的です。保守を自任しているそうですが、「保守」というはなんなんでしょうね。現状維持だけしかできないように見えてしまいます。前世代の価値観が時代を経て変化してきているときに、次世代の人がまた前世代の価値観を繰り返す。この場合、時代が変化しているのにその変化に対応しない次世代の人の方がより責任は重いように思います。保守の立場の方からは、選択的夫婦別姓と同性婚のデメリットが語られることがありますが、これらの問題に関する裁判例を読むと、そのデメリットがあまりに抽象的で、合理的根拠のないことが分かります。

次に、ジェンダーギャップ解消するには、女性のリーダーがよいように思ったりもします。女性候補者は高市早苗氏と上川陽子氏です。高市早苗氏は選択的夫婦別姓と同性婚に否定的。これまた「保守」色が濃い。それでも、女性のリーダーとして象徴的な意味があるのではないかと薄い期待を持っています。でも薄いです。上川陽子氏は、2007年~2008年に少子化・男女共同参画担当相であったときは選択夫婦別姓に賛成と述べていたところ、現在は意見を後退させているようです。立場が違うと意見は変わってしまうのでしょうか。
小泉進次郎氏は選択的夫婦別姓を1年以内に実現するとのこと。このあたりが標準的であってほしいものです。

と、ここまでお読み頂くと、なんだ國信は左寄りか、けしからん、右でもいいじゃないか、との声が聞こえてきそうです。
しかし、選択的夫婦別姓と同性婚は左寄り右寄りで片付けられるものなのでしょうか。いずれも旧来の伝統的な性別による価値観によって、男女間あるいはLGBTQの方とそうでない方との間で、それぞれマイノリティ側の人権侵害を生じている問題だと私は考えています。
日本はいわゆる近代国家であり、立憲主義国家です。国民の人権尊重は近代立憲主義国家の基本的スタンスです。いかに右寄りな考え方を取ろうとも、人権侵害をしていい、あるいは、人権侵害的な状況も今の経済状況下では許容せざるをえないという主張に踏み入るなら、もはやそれは立憲主義の放棄です。分かりやすく言うならば、ロシアや中国の国家体制と変わりがなくなります。
選択的夫婦別姓を導入したら家族観が崩壊する、同性婚を認めると正しい性道徳が崩壊する。本当でしょうか。私は大いに疑問です。

なお、本コラム執筆者の意見や考えを述べたものであって、事務所を代表するものではありません。

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